はじめに
中小企業の経営において「会計」は避けて通れない重要な業務のひとつです。しかし従来のように会計ソフトをインストールして利用する方式では、ソフトの更新やデータのバックアップなどに多くの手間がかかる上、情報の共有も難しいという課題がありました。
こうした中で注目されているのが「クラウド会計ソフト」です。インターネット上のクラウドサーバーに会計データを保管し、複数の端末や担当者がリアルタイムでアクセスできるため、効率的かつ柔軟な会計処理が可能になります。
この記事では、中小企業にクラウド会計ソフトが選ばれる理由と、導入時に確認すべきポイント、おすすめのツール比較を詳しく解説します。
クラウド会計ソフトが中小企業に選ばれている理由
1. 導入コストが低く、運用も簡単
クラウド会計ソフトは月額課金が基本となっており、高額な買い切りライセンスやサーバー導入などが不要です。ソフトのバージョンアップも自動で行われるため、ITに詳しくない中小企業でも安心して導入できます。
2. リモートワーク対応でどこでも作業可能
クラウド型の最大のメリットは、インターネット接続さえあれば、どこからでも会計業務を行えることです。リモートワークや外部の税理士との連携もスムーズになり、事務所に縛られない働き方を支援します。
3. データ共有・連携機能が充実
取引先データ、銀行口座、クレジットカード、電子決済サービスなどとの自動連携機能が備わっており、入力作業が大幅に軽減されます。複数の社員や外部の専門家とのリアルタイム共有も可能で、経理業務の効率が格段に向上します。
4. 法改正や消費税対応もタイムリー
電子帳簿保存法やインボイス制度など、頻繁に行われる会計・税法の改正にも、自動アップデートで迅速に対応できます。自社での法改正チェックが不要になるのも大きなメリットです。
クラウド会計ソフト選びのチェックポイント
クラウド会計ソフトは多数のサービスがあり、目的や規模に応じて選ぶ必要があります。以下の観点を参考に、自社に合ったソフトを選定しましょう。
1. 自社の事業規模・業種に合っているか
製造業、個人事業主、店舗運営など、業種に特化した機能が備わっているものを選ぶと、入力項目や帳票出力がスムーズです。
2. 操作のしやすさ・UIの分かりやすさ
会計初心者や専任経理がいない中小企業では、操作画面が直感的であるかどうかが重要な選定ポイントになります。
3. 税理士との連携のしやすさ
クラウド会計ソフトは税理士とオンラインでデータ共有できるものが多いため、既存の顧問税理士が対応しているソフトを選ぶことも大切です。
4. サポート体制の充実度
チャットや電話サポート、FAQや動画マニュアルが充実しているかも、運用時の安心感につながります。
おすすめのクラウド会計ソフト5選
ソフト名 | 月額料金 | 特徴 | 対応業種 |
---|---|---|---|
freee会計 | ¥1,280〜 | 初心者向けUI、スマホ対応、インボイス対応 | 個人事業主〜中小企業全般 |
マネーフォワードクラウド | ¥1,280〜 | 銀行連携、複数担当者共有、スマート請求書 | 中小企業、経理部門 |
弥生会計オンライン | ¥1,500〜 | 専任サポートあり、決算申告対応 | 法人・青色申告対応事業者 |
A-SaaS | ¥2,000〜 | 税理士向け設計、細かい帳票出力機能 | 税理士・経理部特化 |
PCA会計DXクラウド | ¥3,000〜 | セキュリティ重視、大規模向け機能 | 中堅〜中小企業 |
まとめ
クラウド会計ソフトは、業務効率化・コスト削減・法令対応の迅速化といった面から、中小企業にとって極めて有効な選択肢です。ツールごとに特性が異なるため、「自社の業務環境や経理体制に合うか」をしっかりと見極めることが重要です。
Q&A
Q1. クラウド会計ソフトは無料で使える?
一部のクラウド会計ソフトには、無料トライアルや機能制限付きの無料プランがあります。特に個人事業主向けでは導入コストを抑える手段として活用されることが多いですが、法人利用や複数担当者利用では有料プランが主流です。
Q2. データのセキュリティは大丈夫?
多くのサービスはSSL暗号化や二段階認証、データセンターのバックアップ機能を備えており、従来のローカル型よりも安全性が高いケースもあります。ただし、社内のID管理や端末管理も同時に見直すことが重要です。
Q3. 会計初心者でも使いこなせる?
freeeやマネーフォワードなどは、専門知識がなくても使える設計となっており、初期設定や入力項目も簡素化されています。サポートページや動画マニュアルも豊富で、初めての導入にも適しています。
Q4. 顧問税理士が導入に反対している場合は?
既存の会計ソフトに慣れている税理士は、クラウドへの移行に消極的な場合もあります。事前に税理士が使っているクラウドソフトの可否を確認し、必要であれば変更の相談を行いましょう。
Q5. オンプレミス型と比べて何が違うの?
オンプレミス型(インストール型)は社内で完結する反面、アップデートや端末制限があります。クラウド型は場所を選ばずリアルタイム共有が可能で、システム管理の負担も少ない点が強みです。
コメント